よろめきドラマ
よろめきドラマ
昭和レトロな感じがする言葉だけど、かつて「よろめきドラマ」といわれていたジャンルがあった。そんなドラマのひとつに「赤い殺意」というのがある。
映画にもなっていて何度かドラマ化されているけど、70年代半ばに市原悦子主演で製作されたものがすごかった。

ストーリーは、平凡な夫と平凡に暮らしていた貞淑な主婦(市原悦子)が、夫の留守中に強盗に押し入られ強姦されてしまう。
夫に打ち明けられないままでいると、また強盗が来て再度関係をもってしまう。

ありがちといえばありがちだけど、まんが日本昔話でやさしい語りをしている人と強姦されたあとに、自分から強姦した男を求めるようになるのが同一人物というのは強烈。
同時期の映画「さよならミスワイコフ」も中年の恋愛経験もない女教師が強姦されたあと自分から男を求めるようになる。

夜になると体がうずいて悶々としてもだえて苦しみ喘ぐ市原悦子が、別の日にはおじぞうさんの話をほのぼのとしてる。このギャップがすごすぎた。

主題歌が「愛は生命」。「魅せられて」が大ヒットする前のジュディ・オングにとって、ターニングポイントにもなった小ヒット曲。
「リクエスト」「花嫁の耳飾り」「麗華の夢」「ジョーク」など、再認識してほしい名曲が多い歌手だと思う。

石坂まさをの歌詞がドラマの縮図を描いてる。愛弟子、藤圭子に「セックスするような感じで歌え」と教えただけのことはある。
 洗いざらしのエプロン似合う
 たまの映画と買物好きな
 そんな女でいたかった・・という2番の歌詞が秀逸。

胸で育てたあなたの愛と
肌でおぼえた男の愛が
からむ女の哀しさよ
どうにもならず泣くにも泣けず
今日もまたひとつ夜が去(ゆ)く

洗いざらしのエプロン似合う
たまの映画と買物好きな
そんな女でいたかった
いつから私誰かを待って
眠るせつなさを知ったやら

愛は生命を断つことでしょうか
独り自分を消すことでしょうか
悩む女の迷い道
知らない土地で倖せつかむ
そんな夢をみて泣く私

矢野顕子の歌じゃないけど、お母さんだって女性です。

コメント

nophoto
イクちゃん
2017年6月5日21:49

赤い殺意、高校生の頃に試験休みか何かでリアルタイムで見ました。なんだか衝撃的で、ドキドキハラハラした記憶があります。強盗犯役の青年、ただ悪い男では無く、元は名の知れたトランペット奏者で、心臓の病気を患って、奏者を続けることが出来なくなり、落ちぶれた果ての、孤独な人物だったように記憶しています。演じたのは、陰のあるイケメンの新倉博さんという方で、その後引退されたのでしょうか。

BOTETO
2017年6月7日3:10

新倉博、役柄のせいかおどおどしてたようなイメージがあって、市原悦子がいやあいやあと言いながら逃げてないって当時思った記憶があるのですが、再度見てみたいけど映像化されていないみたいで残念です。
市原悦子は、まんが日本昔話の鶴の恩返しのイメージがあって、不貞を知られてしまったら空へ帰りますっていいそうだなとか思っていました。

nophoto
イクちゃん
2017年6月7日17:56

ドラマのオープニング(エンディングだったかも)で、ジュディ・オングの「胸で育てた〜あなたの愛と〜…」と流れると、市原悦子さんが、一戸建ての庭で洗濯物を干してる映像が出て、上空からの映しで、ぐーっとカメラが空高く引いていき、どんどん家は小さくなり、閑静な住宅街の空からの景色が広がってゆく…。それから、離婚して夫と子供と別れて生きることになった市原悦子の、高校時代からの友達が、それまで、会社員の夫と可愛い男の子との平凡でも幸せな生活を送っていた市原悦子に対しての態度と打って変わって、見下したような内心蔑んでいるような話し方で、同情しているような言葉をかけたのが、妙に心に残っています。…あの作品は、いろいろな面で、人の心の裏を暴くというか、印象に残る場面が多々ありました。

BOTETO
2017年6月8日23:34

洗濯物を干してる画像。なんとなく映像を思い出しました。
それぞれの話はほとんど覚えていないので、今回、教えていただいて、ますます見てみたくなりました。ジュディ・オングの歌も今までエンディングだとばかり思っていました。映像見てみたいですね。
色々教えてくださって本当にありがとうございます。