年をとるのはすてきなものです そうじゃないですか
年をとるのはすてきなものです そうじゃないですか
知り合いに生活保護を受けている一人暮らしのお年寄りがいる。
体調が悪いというと医者は大量の睡眠薬をあたえる。そのせいで頭がぼんやりするらしいけど、すでに睡眠薬常用になっている。生活保護は医療費無料だ。

夜眠れないというので、「用事がないんだから眠くなるまで起きていればいいでしょう」というと、「起きてると頭がおかしくなって、色々悪いことばかり考えてしまう」らしい。
もともと、少しおかしいからいいじゃないと思ったけど心配で電話する。
夜の10時。これから睡眠薬を飲むというので、「今から行くので世間話でもしよう、だから薬飲まないで起きていて」と伝える。

無職で暇だからいいかと遅い時間の電車に乗る。降りた駅にあるスーパーで食べ物を買い込む。夜中のスーパーの静けさが好き。昼間なら買わないものまで買ってしまう。部屋に着くころは深夜12時を過ぎていた。

買ってきた大学芋(お年よりはこれ)やお菓子を並べてたら残り物のおせち料理を出してきた。

不動産屋に「お年寄りに貸す借主は、ここ以外にないよ」と丸め込まれて不便で借りてのいない部屋を紹介され、一人暮らし10年目。
年金じゃ生活できずに生活保護の世話になっているらしい。スーパーまで30分。不便すぎて訪れる人もいないと愚痴る。あとは死ぬだけだからという。

大島弓子のマンガ「ノンレガート」を思い出す。
主人公はレトロなマンションが気に入って越してきたらお年寄りばかり。買い物や手伝いなど、お年寄りたちにたのみごとをされたり、真夜中におばあさんが遊びに来てお茶を飲んでお手玉をしたりする。
主人公はお年寄りの身勝手さに辟易してる上、深夜で不機嫌だけど「本当はこういうの嫌いじゃない」と思う。
「この世では、人は人、自分は自分なんてうたってるけど、お使いたのまれたのだって本当はうれしかった」と。

深夜2時に残り物のおせちやお菓子を食べながらお茶を飲む。自分はビール。
生きてるって寂しいものだけど、こういうのって嫌いじゃないと自分も思う。

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